小バエセンサー
精巧なんです、何よりも。おかげで全滅。何がってブドウです。農協出荷用に詰め合わせていた箱から、ブーンと飛び立つ小さな物体。その名は「小バエ」。
この時期のブドウの天敵です。とはいえ、彼等も生物。無駄なことはしません。実は、この時期のピオーネは酸味も完全に抜けて糖度抜群のかわりに、病気や熟れ過ぎにもなりやすいのです。熟れ過ぎると発酵しかけた独特に匂いがあり、それが「小パエ」にごちそうがあるよ、という信号を送ることになるらしいのです。
もちろん、出荷時のことですから、外見チェツクは怠らず、怪しいと思ったら、匂いもチェツクして箱づめするのですが、それでも彼等の高感度のセンサーにはかかるけれど、所詮、人間にはわからないという「きざし」があるようなのです。チェツクしてチェツクして箱づめをして、しばらくしてその箱に近寄ったらブーンと箱からでてくる「高感度センサー」ちゃんたち。ガックリです。また、その箱をひつくり返して再度、チェック。どれだ、どれだと確認するのですが、たいてい何かを発見して、再び箱づめしても、ほとんどの確率でまたまた「高感度センサー」のご登場となります。この「小バエ」付きの箱は、農協の出荷場でも要注意物として目を光らせています。まず100パーセントの確率で、出荷者に連絡がありその箱は持って帰ってください、出荷できません、になります。これを称して「お持ち帰り」と呼んでいます。
そして、昨日の悲劇です。パートさんと二人、今年最後の出荷とするべくせっせと箱詰めをしました。いつもより念入りにチェツク、チェツクでした。が、哀しいかな、全部終了した後に再度確認したら、「小バエ」たちのお出入り自由のパーティ会場となっていました。何時間もの二人の労力が「無」になったと悟った瞬間でした。
今年の全出荷の最後はこれで幕をひきました。ガックリ!