直売所

今、直売所が大人気だとか。安い、新鮮ということで、土日ともなると、お客さんが多いと、私が関係するどの直売所の人も言っています。
 でも、これって、「専業農家つぶし」なんですよね。直売所に野菜等を出荷する人の中には、野菜づくりが趣味の人、暇だから健康のために畑仕事をしている人、定年退職後に帰農した人・・・彼等に共通なのは、「生活がかかっているわけではない」ということです。
 だから、直売所で自分の野菜が売れないと、どんどん価格を下げてくるのです。「小遣いになればいいから、売れ残るよりまし」という感覚です。直売所の人も、お客さんのニーズが「安さ」にあると思っているから「安くないと売れないよ、高い価格はだめだよ」と盛んに言っています。かくして、直売所では「栽培するのがばかばかしいような価格競争」がおきています。
 どこかの大手のスーパーが安売りにのりだして、キュウリ1本が7円とかの時代です。安いと喜んで買っている人たちは、売り場で7円の値段がつくキュウリを生産する人の手取りはいくらか考えたことはないのでしょうね。、よく、継続可能な農業という言葉が使われますが、その意味の中には、生産者の意欲をそがない価格設定にしようということも含まれています。
 今のこんな時代に「農業」だけを特別扱いして欲しいとは言いませんが、ただ、「農業」は人間には欠かせない「食べ物」をつくっています。継続不可能な価格で、それでも農業を継続させるために、かなりのしわ寄せが農業者にきています。何を言っても、どのようになっても、縮小してきたパイの取り分を争うのに夢中の人たちが関心を寄せるのは、目の前の自分の取り分だけなのでしょうね。
 直売所では、売る側の人たちも、低価格に泣いています。低価格が続くと、農家が栽培をやめてしまい、直売所がなりたたなくなる日が遠からずくると思っているからです。「直売所」とは何か。何のための、誰のためのものか。農協批判の中から登場した「直売所」ですが、今、曲り角にきていると思えてなりません。